レンタルキッチンを開業する50代女性

昨日東京講座終了しました。

今回はこれまでになかったパターンの受講生がいらっしゃったのでご紹介いたします。

関東にお住まいのSさんは既に工場件店舗の物件を建てておりました。

物件の写真をみせてもらった所、とても良い感じの店舗で特に問題はなさそうです。

Sさんのレンタルキッチン外観①

Sさんのレンタルキッチン内観

Sさんのレンタルキッチン外観②

しかし、ヒアリングでSさんの話を聞いていると行動力がめちゃくちゃあるのですが、事業に対する「芯」が「軸」のようなものがなく、自分が下した意思決定がブレまくってしまうのです。

例えば、この店舗も最初は自分が作る作業場とだけ機能する工場を考えていたそうなのですが、工務店の設計士に「こういうのもあった方がいいですよ!」と計画になかった店舗部分を提案され、そんなものなのか、と流されて作ってしまったり、工場として日常使いするので、汚れても傷ついても気にならない様にオシャレ要素を無くした無機質な内観にしたいと思っていたのに、逆にオシャレに作られてしまい、その仕上がりにSさん自身も気に入ってしまい「これは自分が使うのではなく賃貸物件としてシェアキッチンにした方がよいのでは?」と思い、レンタルキッチンにしてしまったりと、とにかくブレまくるのです。

講座当日には「実は加工場のレンタルを始めてしまった」と伝えられて、話を聞くとトラブルが続出しており、原因はやはりSさん自身にありました。

・一度貸してみて料金が安すぎて後悔したから料金をアップした

・自分に製造の知識が無さすぎて利用者に禁止事項などが伝えられない

この2つが一番大きな問題なのですが、料金設定についてはSさんは他の事業者の料金設定を参考にして価格を決めたそうです。

そこで私は「じゃあ何故この事業者がこの値段設定にしてるかわかりますか?」と質問すると、「わかりません」というお返事。

ただ他のレンタルキッチンの料金設定をずらっとみて、この位なんだな、という判断するのは大間違いです。

考えなければならないのは、「何故その料金設定にしているのか」という理由と、「自分がそこの物件でいくら稼ぎたいのかという目標値」です。

Sさんはこの二つを全く考えていませんでした。

料金設定はその物件の設備や条件、物件で出来る事、出来ない事などで如何様にも変わります。

例えば製造許可を物件で取得すれば他の人が商品の製造が出来るのか、利用者自身に取得をしてもらわなければならないのか、などは管轄の保健所によって変わります。

設備もどの程度揃っていて、機器の使用料は施設利用料に含ませるのか、別途徴収するのかも考えなければなりません。

しかし、Sさん自身が加工品の製造の全くのド素人で、設備も工場も設計業者に言われるがママ作った状態。

まったく必要のない設備も買わされていました。

つまりSさんにはその物件の価値、設備の価値が全くわからないのです。

そんな人に料金設定なんか出来る訳がありません。

私は話を聞いている最中に「今すぐにレンタルキッチンの募集を停止してください」と指示ししました。

ありがたい事に毎日問い合わせが殺到している状態なのですが、トラブルを招くだけなので被害の拡大を防ぐためにまずは一旦停止して、体制を整えることを最優先にしました。

正直、こんな状態で開業してしまうと利用者があのマフィンの大食中毒事故のようなものを起こしかねません。

そうなった時、責任の一端を負うのはSさんです。

それだけは絶対に防がなければなりません。

もう一つのトラブルの原因が「Sさんが製造の知識がない」という事。

自分に知識がないので、どこまでやってよくてどこまでがNGなのかという明確なボーダーラインが引けないのです。

つまり、Sさんが決める施設の利用条件の根拠が法律を準拠したものではなく、個人の感覚によって決められているのです。

この施設では菓子製造業を取得しているので、パンなどは作れます。

しかし、利用者のほとんどが素人なので、食品製造に対する知識も衛生管理の意識も激甘です。

例えば、施設の使用時間が限られるので、費用を抑える為に「パン生地の仕込みは自宅でやって、仕上げを施設でやりたいけど大丈夫ですか?」と聞かれたそうなのですが、「大丈夫なわけないじゃん!」と皆さん思うはずです。

では聞きます。

何故ダメなんですか?

衛生上問題があるからですか?食品衛生法で禁止されているからですか?どこまでだったら自宅でやっていいんですか?

こういうことを利用者から質問されたら全部答えられないとダメなんです。

今回の講座終了後、Sさんに指示したことは一つ。

「レンタルキッチン事業は一旦停止し、まずはSさん自身が商品を作って完成させること」

まず最初のステップはこれだけです。

商品の完成させるには細菌検査にだしたり、食品ラベルを作ったり、pHを計測したり資材を注文したりと様々なことをクリアしなければなりません。

それらをSさん自身が実践することで、商品化までの行程を身をもって理解することになります。

その行程のなかで、食品衛生法や食品表示方、景品表示法なども学ぶことになります。

どの製造許可でどこまで作ることが出来るのか、というのも身をもって知ることになります。

自分の知らない領域で商売を始めるには「やる気」と「勢い」が必要です。

Sさんにはこれらは十分備わっているのですが、これらと当時に「最低限必要な知識」も必要です。

こと、人が口にする「食品」に携わる事業に関わるのであれば「安心、安全に関する知識」は絶対に必要で、とても慎重にならなくてはなりません。

あのマフィンのような事故を起こしたら2度と再起は出来ません。

みなさんも一抹を不安を感じながら恐る恐る商売をするのではなく、何を聞かれても全部返答ができる状態で商売をなさってください。

それでは!

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