オリジナルカップは作らなくていい

ちょっと珍しく強い言葉のタイトルにしていますが、これは私の持論でここ最近の受講生には全員に伝えるようにしています。

「カフェ開くぞー!よしオリジナルカップだ!」

「パン屋開くぞー!よしオリジナル手提げ袋だ!」

これらを作る理由は?と聞くと全員がこう答えます。

「差別化です」

「インスタにアップしてもらって宣伝効果を狙う為です」

作った作った、私もたんまり作りましたよ(笑)

デザインが自分で出来るもんだから、外注出さずに安く作れるわー、と意気揚々と作りましたよ。

作った理由は皆さんと同じ、「宣伝効果を狙う為」

これってマジで誰が言い始めたんですか??

あらゆるビジネス書や流行っているお店のネット記事なんか読むと必ずオリジナルの包装資材作ってるんですよ。

さも当たり前のように。

やらなきゃ「悪」みたいに考える余地すら与えない。

もう呪われたようにカフェや飲食店開く人全員これやるんですよ。

私もほんっっっとこれに騙されました。

断言します。

オリジナルカップや手提げ袋や商品に貼るシール、絶対に要りません!!!

今やってる人、絶対にもうやめた方がいい。

宣伝効果?

ないないない!

カップが可愛いからそのカップ欲しさにお店にくる人がいる?

いません!!!!

いたらその店潰れませんから。

売上も下がりませんから。

周りを見渡してみてください。

カップが可愛いと騒がれていたカフェ、いつの間にか閉店してませんか?

手提げ袋で一瞬話題になったあの店、なくなってませんか?

カップや手提げ袋に手を出していいのは、資本がある大手だけです。

うちらみたいな中小規模事業者は手を出しちゃダメですし、元々出す必要がないんです。

冷静になって考えてみてください。

例えばスターバックス。

あれはカップがかわいいから人気が出たんですか?

カップを色んな人がインスタにアップするから人気が出たんですか?

違います。

スタバに行ったこと、スタバの商品を買ったこと自体をステータスだと考えているからアップしているんです。

カップをインスタにアップしたいんじゃないんです。

重要な事なのでもう一度言いますね。

カップをインスタにアップしたいんじゃなく、スターバックスというブランド自慢が先行なんです。

もしカップが無地だったら店舗の外観アップしてますよ、あの人達は。

スタバに行ったことが伝わればいいんですから。

じゃあ名も知れぬ誰が開いたかもわからないカフェをオープンするのに、可愛いオリジナルカップは必要ないのか?

はい、全く必要ありません。

断言します。

そんなもんじゃお客さん来ません。

リピーターにもなりません。

そんなものよりずっと大切なものがあります。

「店の存在理由=ブランディング」の確立です。

お客様はあなたのお店を数あるお店の中から選択をして足を運んで下さいます。

それは商品かもしれないし、あなたの取り組みに賛同してくれたからかもしれない。

包装資材というのはあくまで中身があって初めて必要になる副次的な要素です。

あなたのお店がいくら可愛いカップのデザインをしたコーヒーをだした所で、それが売れ続ける要因にはなりません。

そんな事で店の繁盛が約束されるなら私だって何とかして金を集めて佐藤可士和氏や佐藤オオキ氏にデザインを依頼しますよ。

でもそういう事じゃないじゃないですか、私たちがお店に足を運ぶ時って。

ジジ臭い例えですが、とらやの羊羹買いに行く時はあのパッケージが欲しくて買いに行くわけじゃないじゃないですか。

とらやというブランドと価値を多くの人が知っていて、贈られた側も高級品だと認識してもらえるから買いに行くんですよね?

これは「高級品=ブランディング」と言いたいのでは無く、「あなたのお店の存在理由を明確にする=ブランディング」だと言っているのです。

ここで明確に分けておかないといけないのが、ここまで不要だと言っているのは「包装資材(カップ含む)」の事で「商品パッケージ」ではありません。

商品パッケージのデザインは商品と一心同体です。

これは必須です。

必要ないのはそれを持って帰るときの「包装資材のデザイン」です。

コーヒーやドリンクのカップは商品と一心同体ではないのか?という質問がとんで来そうなので私の考えをお話しすると、一心同体ではあるがオリジナルカップを作るほどの価値がないのです。

簡単に言うと費用対効果が全く合わないのです。

例えばオリジナルカップ作るのにどの位費用がかかるかわかりますか?

オリジナルというのは自社のロゴなどデザインしたカップのことです。

うちが作っていたメーカーを例にあげると、

—————-

【12オンス断熱二重紙カップ】
5000個=246,840円

【蓋】
4000個=24,200円
—————-
合計271,040円

これめちゃくちゃ痛いんですよ、カフェやってると。

オリジナルのデザインって大体5000個以上が最低ロットなんです。

これ発注する度に30万ふっとぶんですよ?

しかも注文してすぐに届かない。

こういった印刷系のものは殆どが韓国製造になるので、製造までに60日以上かかります。

それを見越して前倒しで注文しないといけないので、在庫はたくさんあるのに余裕をもって注文せざるを得ない。

小規模事業者にはこれが死ぬほど堪えるんです。

なので毎月30万支出がある状態です。

しかもこれ紙のカップだけの話です。

夏になったらプラスチックのカップも用意するんです。

これもほぼ同じ金額です。

まだ終わりません。

持ち帰り用のオリジナルのビニールや紙袋もあります。

—————-
紙手提げ袋
5000個=150,000円
—————-

これがずっと続くんです。

この金額あればバイト何人雇えますか?

これは商品ではないので本来は無くて良いサービス品みたいなものです。

こんなものに小規模事業者は手を出しちゃダメなんです。

なのでうちは2年前にオリジナル包装資材を全部止めて規制品にしました。

結果、

—————-
【12オンス断熱三重紙カップ】
1000個=19,360円

【蓋】
2000個=12,100円

【ビニール袋】
100枚=250円
—————-

以前まで二重紙カップだったのですが、三重にして冷熱対応のものにしてプラカップを廃止。

規制品なので1000個単位で注文でき、翌日納品なので、在庫がなくなる直前に注文可能。

紙袋も廃止し、ビニール袋の既製品に変更。

では、これに変更して売上は変わったのか?

全く変わっていません。

「カフェといったらオリジナルカップだろう!手提げ袋をもって街中を歩いてもらって宣伝効果を狙うんだ!」とやっきになっていた私が、どうして資材にお金を使うのはやめてみようと思い立ったのか?

それは、インスタに「#萩野菜ピクルス」で投稿している人が全然いないのにお客さんが来ていることに気がついたからです。

実は今現在もなんですが、「#萩野菜ピクルス」で検索をかけてもうちのオリジナルカップや手提げ袋を投稿している人は本当に少なくて当時は「なんで投稿してくれないんだ!」と腹すら立てていました。

でもお客さんは毎日来てくださる。

つまり、私が期待していたインスタの#タグ検索での宣伝効果は全くないのにお客様はお店に来ているということ。

この時に「あれ?お客さんってカップとかどうでもいいと思ってない?」という疑惑が生まれたのです。

そこでオリジナルカップの資材が無くなり次第、順次既製品のものに変えていったのですが、先にも書いた通り売上は全く変わらなかったのです。

これには理由があります。

うちは元々、萩野菜ピクルスとしてブランド化を進めており、お客様は「萩野菜ピクルスのお店に行って買い物がしたい」という状態が出来ていたのです。

なので、そこで買い物ができるならカップのデザインがどうであろうが、紙袋がポリ袋に変わろうがお客様の欲求は満たせていたのです。

私が思うに、お客さんを呼び込むためにはその店の「本質」を強化するしかないと思います。

そのお店はお客様に何を提供し、お客様は何を得ることができ、何を求めてくるのか。

これは今から店舗を分析してどうこうの話でな無くて、そもそもみなさんがお店を開く時に「誰に何を届けたくて開業したのか」という事を見つめ直す一点につきます。

その大義の前には小手先で用意した見てくれの良いデザインのカップの価値なんて無いに等しいのです。

お客様があなたの店の本質を理解し、それを求めて足を運んできてくださっているのであれば、オリジナルのカップなんてなくてもお客様は必ずまた来てくれるのです。

講座で受講生に店舗の案内をすると決まってカップや包装資材の値段を聞かれます。

この時に、今書いた内容を一通り説明するのですが、必ず最後に言う言葉があります。

「でもみなさん、僕がこんなに止めても絶対オリジナルカップ作りますよ(笑)」

作りたくなっちゃうんですよ、あれ絶対(笑)

あのオリジナルカップの魅了には中々勝てませんからね。

一度痛い目見て、あー、やっぱりやんなきゃよかった、と一回で学んでもらえればいいか、と思っています!

それでは!

※以下事例で紹介している方は全て2ヶ月フォロープログラムを受講された方です

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