経営者は不安が無くなることは無い

先週の金曜日、卒業生のSさんから相談のメールが届きました。
※真剣なご相談なので長いです

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おはようございます!

私、昨日の先生からの記事を見て、漬物屋さんのピクルス販売は今まさにやろうとしていることなのでとても突き刺さって「これや!」と思えたのですが、実はそれ以外はこれまでピンと来なかったんです(すみません)

その理由が、皆さんが店舗を持っていたりこれから施設を作ろうとされていたり、それに比べて私は慣れない農業に真っ最中で他の方との差を感じてしまっていたからだと思います。

でも「キッチンカーなら楽しそうだしできそうだな」「農家のオープンする予約制レストランて最強だな、けどウチの畑の場所は建物むりかな」など刺激を受けている事も事実。

そしてふと思ったんです。

「俺、次のこと考えてない」

たしかに農業では新しい土地も借り、春から15アール増えて、ネギまみれにして飲食店に卸す契約ができた…など、農業未経験者にとっては進歩しています。

販売に向けてのPR動画や営業のスケジュールを考えたり、奔走しているのが実際です。

しかし、このままだと自分が成功している未来予想図があまりに少なすぎて、すごく不安でたまらなくなるときがあります。

「焦っても仕方ないけど早く商品を持ちたい、商品あったら死に物狂いで営業でもなんでもしたい!」という状況です…そこに全ての神経を持って行かれている状態です。

自分にはどんなことができるのか、先生に一度相談したいです。

そもそもこの目標でいいのか?どのくらいの商品数の展開や、自分の強みを生かした商品はどんなものなのか?

などお聞きできればありがたいです😢

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Sさんは今年3月に農業経験ゼロで農業起業をされた方です。

10月に講座を受講され、進捗がある度に連絡があり精力的に動いている方なので特に問題も感じずやり取りを続けていました。

【加工品作りも順調です】

しかし、当の本人は起業したばかりで、まだ事業の柱となるものが確立されていない状況です。

不安に駆られる時があっても何ら不思議な事ではありません。

私も何度同じ経験をしたことか。

というか今も普通に不安に襲われる事もありますし。

事業を10年やってきましたが、不安を感じなかった年なんかひとつもありませんでした。

ただ、長くやっていくと不安を感じる間隔は少しずつ長くなります。

それは経営の「慣れ」や「経験」によるものだろうと考えているのですが、これが無いうちは不安に襲われる回数が多くて当たり前です。

という事を踏まえ以下のようなお返事を致しました。

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メール拝読させて頂きました。

不安が募ることは経営者として当然のことだと思います。

この不安が消えたり薄まったりするのは収支の目算が体感で分かるようになり、かつ、損益分岐点を超える利益を出した時くらいです。

それでも、今月が良かったとしても来月になったらまた同じ不安が発生するので、永遠に無くなることはないと思います。

Sさんの場合の不安はこれとはちょっと違う種類で、起業も初めて、農業も初めて、加工品も初めて、という未経験の事象が一度に発生していることによる漠然とした不安感だと思います。

まだ何一つとして事業が形になっていない状態(収益を生める体制が整っていないという意味です)なので、不安にならない方がおかしいです(笑)

私が皆さんに配信している卒業生の事例は、既に事業を行なっている方がどのようにして結果をだしているのかを紹介しているものなので、一つの「答え」のようなものです。

Sさんだけでなく、これから起業する人達はとにかく「結果」や「成果」が早く欲しいので、他の人の「答え」を見て「自分も同じ様にやらなくちゃ」と思ってしまう傾向が強いです。

しかし、既に事業を行っている人達は自社で出来る範囲というものを知っているので、取捨選択をした上で「答え」を導き出しているにすぎません。

なので、そういう経験者と自分を比べてはいけません。

そしてそういう経験者も昔はSさんと同じ未経験者です。

私も10年前は未経験者です。

なので、まずはSさんは焦らずに「一つの成果を確実にだす」という事を集中してやってみてください。

ネギを作るのであれば確実にネギを15アールつくる。そして売る。その結果どのくらいの収益が生まれたのかデータをとる。

ピクルスを作るのであれば、一つ商品を作ってマルシェでもなんでもいいので売ってみる。それが売れるのか売れないのかデータをとる。
売れなければデザインが悪いのか、売り方が悪いのか検証する。

というように、一つの事をやりきり成果を確実に出してみるのです。

「次の事を考えていない」とおっしゃっていましたが、十分考えてはいるんですよ。

ただ、人の出した答えを見て「あれもいい、これもやってみたい」と振り回されているだけなのです。

まずは一旦落ち着いて、やりたい事はとりあえずいつかできれば良いと頭を切り替え、「今できることを確実にやる、そして確実にその事業で利益をだす」と腹を据えて取り組むべきです。

自分の商売の型を作らなければ、土台がない状態で家を建てるようなものなので、まずは事業の柱を作ることに集中してください。

応援しています!!
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というお返事をお書きしました。

するとすぐお返事がきました。

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椋木先生、全てその通りで、自分でも言葉にできなかったことを言語化してくださったことに感謝いたします。

収支の目算もまだ体感できず、利益は無く、初めて尽くしで商品開発にかかる経費だけが嵩んでいる状況で、突如不安が襲う中でも「やるしかない」と前に走り続けているような状況です。

先生に「不安にならないほうがおかしい(笑)」と言っていただけたことが、本当にとても救いで、「一つの成果を確実に出す」という言葉にハッとさせられた次第です。

あれこれ手をつけてしまう悪いクセがあるので、一点一点集中で、目標を紙にまず書いて張り出して、ブレないようにします。

そしてデータをとるということを、今までもないがしろにしてきていたと反省もしました。

春夏野菜も、どのくらいタネを買ってどれだけ生育できたかも適当になっていました。

何故上手く栽培出来なかったのか、ということも曖昧なままでした。

秋冬野菜は上手く育ってきているので、原因を分析するところから再スタートしてみます!

ピクルスは誰に食べてもらっても、とても評判いいんです。

「美味しい!」「おしゃれ!」それを言ってくれた人の年齢や性別や家族構成など、たくさん情報があったはずなのでそれもまとめてみます。

その上で、仮説を立てて1月のマルシェでの販売をして反応を見るということをしようと思いました。

「今できることを確実にやる、そして確実にその事業で利益をだす」と腹を据えて取り組むべきです。」

これがまさに私に欠けていたものでした。本当にありがとうございます。

読み返しながら涙ぐんでしまいました、それくらい胸に突き刺さりました。

応援に応えられるよう、頑張ります!
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事業が思うようにいかなかったり、売上があがらなかったり、マイナスな事象はすぐに精神を乗っ取ります。

しかし、それを何度も乗り越えると「まー何とかなるか」とか「これ何とかせんとマジでヤバいやつじゃん(笑)」という考えになります。

多くの経営者の方は絶対にこんな考えだと思います。

しかし、これは幾度となく困難を乗り越えた経験があるからそう考えられるようになっただけで、経営者1年生には出来ない思考回路だと思います。

危機や不安は自力で乗り越えるしかありませんが、その経験は間違いなく地力となって蓄積されているので、歯を食いしばって頑張って下さい。

長くなりましたが、本日は以上です!

※以下事例で紹介している方は全て2ヶ月フォロープログラムを受講された方です

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