無添加の低糖度商品の作り方
社会人向け加工食品専門学校ピクルスアカデミー
最近は健康志向の高まりを受け、糖度を抑えた「低糖度ジャム」のような商品化を希望される方が本当に増えてきました。
作る事は全然可能なのですが、我々作り手にとって低糖度化は保存性との戦いを意味します。
従来のジャムが長期保存が可能なのは、糖度を約60%以上に高めることで食品中の自由水を減らし、微生物が利用できる水分の割合を示す「水分活性(Aw)」を低下させていたからです。

pH、Awを利用して保存性を高める。今回は理論ガチガチの読み応えのある内容をお届けします。
しかし、糖度を40%程度以下に抑えた低糖度商品では、水分活性が高くなるため、糖の浸透圧による細菌の抑止力を十分に発揮することが難しくなってくるのです。
そこで重要となるのが、pH(水素イオン指数)の制御と、厳格な加熱殺菌、そして酸素を遮断する包装技術の組み合わせ、いわゆる「ハードル理論」による保存性の確保です。
まず、低糖度の食品の製造過程において不可欠なのが、煮詰め作業による成分の濃縮とpHの調整です。
砂糖を加えない分、煮詰めることで糖分濃度を上昇させる必要があります。
しかしあまりに煮詰めすぎると、今度は糖分が結晶化し、焦げて香りが悪くなったりします。
そこで次に利用するのがpHです。
苺やブルーベリーなどの果実を加熱をして煮詰めると水分が蒸発し、相対的に果実由来の有機酸が濃縮されます。
これにより液体の酸度は強まり、pH値は低下します。
0〜14の指標で数値化され0〜6が酸性、7が中性、8〜14がアルカリ性です。
ジャムが理想的なゲル状に固まるためにはペクチンという成分が必要で、pH2.8〜3.5の範囲に近づくとペクチンが網目構造を作り、ジャムらしい粘り気が出てきます。
実はこのpH2.8〜3.5という数値は微生物抑制の観点からも非常に効果的な数値なんです。
微生物はpHを利用しても制御できるので、煮詰めてもpHが足りない場合はレモン汁などを入れたりします。
レモン汁は自然由来の原材料なので、クエン酸などのpH調整剤とは違い「化学調味料不使用」と表記することも出来ます。
この講座では特に「加熱殺菌時間と温度」を事細かく教えるのですが、食品衛生法で定められている加熱殺菌の時間と温度は、すべて「pH(水素イオン指数)」と「水分活性(Aw)」の数値を基準に定められています。
多くの食中毒菌はpH4.6以下では増殖が著しく制限され、特に一番避けなければならないボツリヌス菌もこの酸性条件下では芽胞の発芽・増殖が抑えられます。
しかし、カビや酵母はこの程度の酸性下でも生存できるため、これらを死滅させるための「熱」の力が次のハードルとなります。
また、煮詰め工程での「糖度」の管理も、細菌の繁殖抑制に直結します。
低糖度であっても、水分を飛ばして糖度を一定以上に上げることで、微生物が使える水を奪うことができます。
小規模な工房で作る場合は簡易的な屈折糖度計を使い、目標とする低糖度(例えば40%から45%)に達しているかを測定します。
煮詰めが足りず水分が多い状態では、どんなに殺菌を徹底しても、開封後の腐敗スピードを抑えることはできません。
低糖度商品は、高糖度商品に比べて「開封後の保存性」が著しく低いため、消費者に対しては「開封後は必ず冷蔵庫に保管して早めに食べきる」という注意喚起を行うことも必要になってきます。
pHによる化学的な抑制、加熱による物理的な死滅、そして真空包装による環境的な遮断を行い、ハードルを一つひとつ丁寧に積み上げ保存性を高める。
これが「ハードル理論」です。
保存料に頼らずに美味しい低糖度商品を作るための唯一の方法なのです。
どうですか?頭がクラクラしてきましたか?(笑)
今回はわざと理論と理屈で固めた内容を書いてみましたが、実はこの中で必要なものは2つしかないんです。
それは「加熱殺菌温度」と「加熱殺菌時間」です。
それを自分で判断できるようになる為に、「pH」と「Aw」を計るのです。
それだけで安心安全な加工食品は100%作ることが出来ます。
それを教えているのがこの講座なんです。
難しい理論や理屈は正直言ってそこまで必要ないんです。
自分が作った商品は中心温度を何度にして、何分加熱すればいいのか?さえ分かればいいのです。
これを小学生でもわかる様にまとめたテキストが100ページちかくあります。
ジャムの様な一番難易度が低い加工食品でも、安全性をきちんと担保する為にはこれ位の知識や理論が必要になるのです。
この程度の説明が出来ない人は、本来、人様が口にする様な加工品なんて作ってはいけないのです。
何をもって自分の商品は安全だと言い切っているのか。
不安に感じている方は是非受講を検討されてみてください。
それでは!

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