原材料が足りない場合はどうするか?

萩野菜ピクルスのコンセプトは「萩市産の規格外野菜を使ってピクルスを作り、農家の収入の一助となる」というものを掲げてブランドを立ち上げました。

これは企業理念のようなもので、商品の背景にあるストーリーです。

これまで様々な起業家を見てきましたが、この「理念」が足枷になってしまっているケースが結構多いのです。

例えば萩野菜ピクルスを例にとってみると、「萩市産の規格外野菜だけを使用して商品をつくる」という縛りがあるがために、冬になると野菜がないので商品が全く作れない、規格外野菜は運悪く出来てしまうものなので生産量が読めない、などが挙げられます。

きゅうりを提供してくれている農家さん。規格外野菜のみにこだわるのではなく、正規品もどちらも買い取らせて頂いている

起業当初、私はこれに非常に頭を悩まされました。

きちんと営業活動を行なった結果、ありがたいことに取引先はどんどん増加するものの、この縛りのせいで商品が作れないという状態に陥ったのです。

さて、みなさんならこの状況の場合どうしますか?

私はすぐに「規格外野菜だけを使う」という縛りを外し、農家から規格外だけでなく正規品の野菜も買い取ることにしました。

こちらの取り組みとしては、農家が破棄する野菜に歯止めがかけれたら良いだけなので、別に正規品を使うことに負い目を感じる必要はありません。

ひとまずこれで規格外野菜の縛りは無くなりました。

しかし、まだ一つ縛りが残っています。

それが「萩市産の野菜限定」という原産地縛りです。

この縛りは1年近く頑なに守っていました。

当然です。だって商品名に「萩野菜」と書いてしまっているから。

しかし、萩市は年中暖かい地域でも何でも無い普通の地域です。

冬になれば雪が降り作物なんか育ちゃしません。

なので、冬になるとピクルスの種類が激減するのです。

これでは取引先に供給できる商品数が全く安定しません。

当初は逆に季節限定感をを売りにしていたのですが、だからと言って値段を上げるわけでもなく、単に取引量が減るだけなので売り上げも減少します。

「いや、これきついな…」と考えていた時に、とある取引先からこんな事を言われます。

「トマトのピクルス一年中出してくれませんか?」

実はこのバイヤーさんからこれをずっと言われ続けていたのですが、

「出したいけど無理ですよ(汗)冬になったらトマトできないので(汗)」

と毎回断っていました。

しかし、(失礼な話ですが)あまりにも何回も言ってくるのでもうヤケクソになって

「萩産のトマトじゃなくていいなら1年中出せますよ!それでもいいんですか!?」

と伝えると、

「全然いいですよ!それでお願いします!」

(…は?なんつったこの人?)

と耳を疑いましたが、このバイヤーさんの意見をまとめると、

「萩野菜ピクルスというブランド名がついている商品が欲しい」というのです。

萩野菜ピクルスという商品名と、この瓶のデザインであれば中身の野菜はこだわらないというのです。

私は天地がひっくり返るくらい驚いて、そんな捉え方をしてもOKなのか、と初めて気づく事が出来たのです。

そこで、私は萩で野菜が取れる時期は萩産の野菜を使い、季節外の時期は国産野菜に切り替えることにしました。

萩市産の野菜が取れない時は、市場から国産野菜を取り寄せピクルスにしている。通年商品にすると取引がしやすい。

もちろん産地偽装なんて出来ないので、食品表示の欄にはその都度原産地を変えて、ある文言を一年中記載することにしました。

その文言は「季節外は国産野菜に切り替えます」です。

こうすることによって約10種類の商品を定番商品とし、一年中出すことが出来るようになりました。

新しい取引先が出来る度に、この条件を事前にきちんと説明し、納得してもらった小売店とだけ取引をするようになったのですが、これで取引が断られたことは一度もありません。

通年商品になるということは小売店にとっても非常に発注がしやすく、こちらも◯◯月にならないとこのピクルス出来ないんですよ、という面倒なやり取りがなくなりいいことづくめです。

何より、売上計画が立てやすい。

これに尽きます。

もちろんこれは納得できる経営者もいれば、拒否反応を示すひともいると思います。

ただ、私の場合は「嘘はついておらず、そのことも事前に表記済みで納得してくれる人だけ買ってくれればいい」という考えで、何より「売上が立たなければ事業が成り立たない=廃棄される野菜が買い取れない」という事なので、そうなる位なら自分のプライドは捨てた方がいい、という判断基準なのです。

なので、自分の守るべきプライドや理念を100%固辞するのか、どこか折り合いを見つけて事業として成立させるのかは、経営者にや創業者にしか出来ない判断なので、こういった事柄に悩んでいる方は是非一歩下がって俯瞰で見てみることをお勧めします。

案外、気にしているのは自分だけだったりするものですよ。

それでは!
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