製造基準が法律で定められていない加工品の作り方
社会人向け加工食品専門学校ピクルスアカデミー
加工食品を製造する場合、当然ですが「製造許可」が必要になります。
製造許可はどの加工品を作るのかによって取得する許可が決まっています。
例えばパンやジャムなどを作りたいのであれば「菓子製造業」、飲み物を作りたいのであれば「清涼飲料水製造業」、冷凍食品を作りたいのであれば「冷凍食品製造業」といったように細かく細分化されているのです。
これらの製造業は何故ここまで細分化されているかと言うと、各製造業でカバーされている食品群の殺菌方法や衛生管理の方法が違うからです。
例えば漬物を作る場合は「漬物製造業」を取得しなければならないのですが、漬物の場合は塩分を何%にして、殺菌はこのようにしてくださいというのが決まっていたり、冷凍食品製造業の場合は-15度以下の冷凍室、保管室を用意しなければならないなど、製造業によってバラバラなのです。
しかし、加工食品の種類というのは無数にあるので、全ての食品を個別に食品衛生法でカバーすることは現実的に不可能です。
言い換えれば、「製造基準が定められていない加工食品が世の中には沢山ある」という事です。
例えばオイル漬け。
オイルサーディンや牡蠣のオイル漬けなどは製造基準がありません。

何故かというと、微生物は水分がないと増殖ができないので、「オイル漬けの食品は基本的には腐敗しない」という大前提があるので製造基準がそもそも存在しないのです。
では加熱殺菌などはしなくて良いのか?と言うと、それは全く違います。
今お話ししているのは、「オイル漬けの製造基準がない」というだけで、殺菌は必ずしなければなりません。
製造基準とは「中心温度が何度になるまで加熱をして、そこから何分以上加熱しろ」と定められているものです。
その基準が定められていない加工食品が沢山ある、というだけで加熱殺菌は必ずしなければならないのです。
では「そういった食品は何を基準にして加熱殺菌をすればよいのか?」というと、その加工食品がどのような形態で販売されるのかによって変わるのです。
例えばオイル漬けの商品を瓶や缶詰に入れて販売するのであれば「密封包装食品製造業」の製造基準に従うことになります。
これ、実は「缶詰又は瓶詰食品製造業」という許可があったのですが、令和3年の法改正で廃止をされ今は「密封包装食品製造業」に再編されたのです。
食品衛生法は技術の進歩や時代の流れとともに結構な頻度で法改正が行われます。
この情報をきちんとキャッチしておかないと、今まで大丈夫だったものが知らない間に「違法」となってしまうこともあるのです。
話がそれましたが、オイル漬けを「瓶」でつくる場合は「密封包装食品製造業」の製造基準に従い、その食品内のpHとAwの数値によって殺菌温度と時間が明確に定められています。
例えばpH4.0以下であれば「中心部の温度を65℃で10分間加熱する、又はこれと同等以上の効力を有する方法で行うこと」というような感じです。
マヨネーズを作る場合は卵黄を61℃で3.5分以上加熱しなければならないなど定められています。
これはサルモネラ菌の死滅条件が61℃で3.5分だからです。
レトルト食品の場合は「120℃で4分以上」と定められているのは、ボツリヌス菌の死滅条件です。
このように「何度で何分加熱」というのは微生物の生育限界環境を元に厳密に決められているので、適当に加熱時間や温度を自分勝手に決めてはダメなのです。
何故今回このようなお話しをしたかと言うと、昨日受講生から「細菌検査を何度やってもカビが発生して失敗する」という相談が届いたからです。
こんなのは原因は一つしかありません。
法で定められた加熱殺菌条件を守ってないからです。
この受講生にどんな加熱殺菌をしているかと聞いたら、案の定私が教えた加熱殺菌方法を全く守っておらず、適当な加熱温度と時間で処理をしていました。
「もう一度動画とテキストを読み直してその通りにやってください。それをすればその現象は100%二度と発生しないので安心してください。」
とだけお伝えしました。
世の中にはネットに出ている情報を鵜呑みにした無責任な製造者が、適当に加熱殺菌処理をして商品の製造をして販売しています。
スーパーに並んでいるような商品でそういったものは絶対に並んでいません。
それは取引の際に商品企画書の提示が求められ、商品の安全性の担保の確認が確実に入るからです。
しかし、田舎の道の駅や直売所ではそれがスルーされる事があります。
特に個人店のオリジナル商品などは店主しかチェックをしないので、自分が売りたいと思えば売れてしまう状況なのです。
よくあるのが個人店のパン屋の店主がつくってるジャム。
うちの受講生でも一番多いのがこのパターンです。
そんな状況に危機感や恐怖感を覚えてこの講座を受講される方はまだマシなのですが、そんなこと何とも思っていない事業者も多数いらっしゃいます。
ではどうやればそんな商品の見分けがつくと思いますか?
正解は「見分けはつかない」です。
現行の法律ではこの商品がどの細菌検査をクリアしているのか、なんて書く必要がないからです。
製造者のモラルに任せるしかない、というのが現状です。
うちの受講生には徹底的に細菌について学んでもらうので、絶対にそんな商品は作らせませんが、食中毒なんか起こした日には事業なんて一発で終わりますからね。
ほんとみなさんも注意してくださいね。
それでは!
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