教師から農家へ。「転機」となった加工品ビジネス/志田一真さん (上級編受講)
教師から農家へ。「転機」となった加工品ビジネス/志田一真さん
社会人向け加工食品専門学校ピクルスアカデミー
農業を基軸としながら、ピクルスアカデミーを受講後、ピクルス製造販売で実績を上げている志田一真さんです。受講後に志田さんの事業にもたらした変化、特に販売戦略について詳しくお話を伺いました。

農業経験、加工品製造ゼロからの挑戦している志田一真さん。
◆受講前の状況:自然農法での多品目栽培の壁
【椋木】
志田さん、本日はお忙しいところありがとうございます。まず、講座を受講される前の事業の状況についてお聞かせいただけますか?
【志田さん】
こちらこそありがとうございます。私が山口で受講したのは、開業届を出してから5ヶ月後のことでした。農業をゼロから始めたばかりで、当初は自然農法を軸に、色々な野菜を色取り豊かに育てて、直売所で販売する構想でした。
【椋木】
当時はどのような野菜を栽培されていたのですか?
【志田さん】
初めはとにかく色々なものに手を出してしまい、種を100種類も蒔いたんです。しかし、自然農法を甘く見ていたこともあり、結局まともに育ったのは3種類だけでした。虫に食われることが多く、葉は出てもその後しっかり育たなかったり、育ってもラディッシュがとてつもなく辛くなってしまったりと、全く収益につながる収穫ができませんでした。
◆ピクルス製造への着眼点と受講の動機
【椋木】
そのような状況で、弊社の講座を知って頂いたのですね。何を求めて受講しようと思われたのでしょうか?
【志田さん】
以前、カラフルな野菜と相性が良いという「ピクルス」を本で見たことがあり、きれいで魅力的だと感じていました。また、うまくいかなかった野菜も加工品にすれば使えるかもしれないという、一種のセーフティネット的な考えもありました。
【椋木】
受講後、志田さんは比較的早く商品を世に出されましたよね。率直な感想はいかがでしたか?
【志田さん】
講座では、ピクルスの技術はもちろんですが、それ以上に先生から教わった「ビジネスに関する知識」が、私にとって何よりも大きかったです。私は元々学校の教師をしていて、物を売る、販路を広げる、利益率を考えるといったことが初めての経験でした。先生の指導で、自分で商品を作って売るという経験を積み重ねたことが、今も生きている「転機」になったと感じています。
◆予想外の反響とメディア対応の失敗
【椋木】
商品化直後、オンラインショップを開設された際に、電話が鳴り止まず着信履歴が営業電話で埋まったという話もありましたね。
【志田さん】
はい、ピクルスのオンラインショップを公開した次の日には、もうひっきりなしに営業電話がかかってきたんです。一体どこから情報を得たのかわかりません。
【椋木】
その営業電話の中に、料金を払って雑誌などに掲載する企画も含まれていたんですよね?
【志田さん】
ええ、そうなんです。その一つが、先生から出ちゃダメだと言われた有料の雑誌掲載でした。当時は舞い上がってしまう気持ちもありましたが、結果としてお金を払って出るメディアの効果はほとんどなかったですね。
【椋木】
久しぶりに志田さんのHPを見た時に、「あの雑誌に出てる…」と思ってたんですよ。あの雑誌は著名人と有料で対談をさせて、それを収益にするビジネスモデルなんです。この会社は弊社にもしょっちゅう営業をして来ますが全部断っています。というか、私は料金を支払う媒体はどれだけ有名でも全て断っています。私は10年近く東京でTVの仕事をしていたので分かるのですが、TVや雑誌などのメディアが直で依頼を出す時は基本全部無料なんです。間に代理店が入ったものは必ず有料になります。萩野菜ピクルスはこれまで集英社、講談社、文藝春秋、テレ朝など様々なメディアに取り上げられて来ましたが、全部無料です。なので、その効果もよく知っています。出る前に相談してくれればよかったのに(苦笑)
【志田さん】
まさにその通りでした。おかげで、無駄な出費を避けるようになり、いい意味で財布の紐が締まりました(笑)
◆受講後の事業展開:マルシェでの実績と課題
【椋木】
現在はどのような形で事業を進めていらっしゃいますか?
【志田さん】
受講後は、地元のマルシェを中心に販売を続けています。受講してすぐ、菌検査などを済ませて商品化し、2ヶ月の賞味期限保証を取ってから初めのマルシェに出店しました。地元のマルシェでの繋がりから、別の商店の方々とも知り合えたんです。
【椋木】
箕面市の大きなイベントにも出店されていましたよね。
【志田さん】
天候は悪かったのですが、2日間でピクルスだけで16万円の売上が上がり、200本以上販売できたんです。今考えると、信じられないほどの売上です。

イベントで「ピクルスだけで200本、16万円の売上です!」と喜びの声を頂くも、他の白ネギ商品も絶対作るべきだと提案。ピクルスだけだと専門性がまだまだ薄い
【椋木】
16万円はすごいですね。その時の成功体験が、今のマルシェ出店にも活きているのですね。
【志田さん】
ただ、その後は農業にもきちんと向き合いたいという思いから畑の規模を広げたこともあり、ピクルスの販売は地元のマルシェに限定していました。最近では、地元での活動を続ける中で、別のマルシェ主催者の方々との繋がりができ、選べるくらい出店の声がかかるようになりました。
◆「専門性」が事業を加速させる
【椋木】
講座を通して事業の考え方で一番変わったことは何でしょうか?
【志田さん】
先生から頂いた「一つのことに集中してやりなさい」という一言が、私の中で非常に大きかったです。農業でも100種類もの野菜に手を出して失敗し、加工品でもピクルス以外にバーニャカウダソースなどを検討していた時期がありました。その時、ピクルスにまず集中するよう助言いただき、以来ピクルス一本でやってきたからこそ、今の状況に繋がっています。農業でも、今ではネギ一本に絞ろうという方向性が定まってきています。
【椋木】
そうなんですよ。「自分はこの分野の専門だ」というレッテルを自分で貼ることが、事業をやりやすくするんですよ。専門性が高まると、周囲からの見られ方も変わります。卒業生の中にも、名刺の肩書きを「野菜とフルーツの加工業」に変えたことで、大手企業との年間契約に繋がった例もあります。
【志田さん】
はい、その専門の優位性が交渉のし易さにも繋がっていると痛感しています。
◆次なる一手:白ネギ専門農家へのシフト
【椋木】
今後、事業の展開について何かお考えですか?
【志田さん】
今、農業で白ネギの栽培に力を入れており、来年には収穫も増える予定です。関西では白ネギ農家が少ないため、これを機に「白ネギ専門農家」としてブランディングを考えています。

来年は白ネギに特化した加工品作りに挑戦するそう。専門に特化した方がビジネスはやり易いです
【椋木】
それは素晴らしい戦略ですね!
【志田さん】
実はピクルスの中で「白ネギを炙ったピクルス」が一番人気なんです。お客さんの反応も良いので、白ネギの商品ラインナップを増やし、自分のブースを白ネギの加工品で統一することも検討しています。ただ、今まで売ってきたカラフルなピクルスをどうするかという迷いもあります。
【椋木】
白ネギ専門に全振りした方が良いと思います。お客様の印象として「白ネギ農家さん」として認知される事が一番大事です。他のカラフルなピクルスはあってもいいですが、白ネギの加工品(ソースやレリッシュなど)を増やし、白ネギ農家としての専門性を高めるべきです。白ネギピクルスも、白ネギ農家の商品の一つとして位置づければ良いのです。
【志田さん】
なるほど。白ネギに特化することで、料理店などからの引き合いも増えるかもしれませんね。
【椋木】
そうです。競合が少なく、需要があるところに全振りする。お客様の反応が良い方に寄せていけば、成功する確率は高まります。
【椋木】
今のマルシェでは、ピクルス以外の商品も売られているのですか?
【志田さん】
ピクルスだけを売っています。一番小さいマルシェでは、カレーとセットで販売することもありますが、他のマルシェではピクルス一本です。売上は、2日で4〜5万円ほどで、11月の万博記念公園のイベントでは2日間で10万円を達成しました。
【椋木】
マルシェは丸一日仕事になるので、最低でも1日5万円は稼ぎたいですね。サンドイッチやフルーツサンド、お弁当といった日配品(日持ちしない食品)は検討されないのですか?
【志田さん】
以前、先生の講座でフルーツサンドも習いましたが、正直、ナマモノを扱うのが怖くて。
【椋木】
でも、日配品は絶対に売上が出ますよ。ピクルスは保存が効くので、日配品で集客して、「ついで買い」でピクルスを買ってもらう戦略が有効です。白ネギのおかずがたっぷり入った弁当や、白ネギの形を模した飴やアイスキャンディなど単価600円で50個売れば3万円になるので、ピクルスと合わせて目標の5万円はクリアしやすいですよ。
【志田さん】
なるほど!白ネギのお菓子ですか!そこまで白ネギに特化するんですね!?
【椋木】
「専門」を名乗るのであれば徹底的にですよ。1月の出店でも是非検討してみて下さい。
【志田さん】
先生のお話で、今後の方向性がはっきりしました。来年は、白ネギを軸にした商品展開を進めていきたいと思います。本日はありがとうございました。
【椋木】
頑張ってください。またいつでもご相談ください!

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