卒業生インタビュー

2019年に開始したピクルスアカデミーの受講生が2025年に1,000名に達しました。これを記念して、卒業生の皆様に受講前と受講後の感想をインタビューしてきました。どうぞご参考になさって下さい。

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イノシシ肉のテリーヌに魂を込める。食品未経験者が切り開く食肉加工品の新たな道/橘ゆかりさん (上級編受講)

イノシシ肉のテリーヌに魂を込める。食品未経験者が切り開く食肉加工品の新たな道/橘ゆかりさん

社会人向け加工食品専門学校ピクルスアカデミー

石川県のジビエ(イノシシ肉)を使ったテリーヌの製造販売という、新たな挑戦に踏み出した橘ゆかりさん。元小学校の給食調理師という異色の経歴を持つ彼女は、食肉加工のノウハウがない状況から、どのようにして事業を立ち上げたのでしょうか。その道のりと、今後の展望について、詳しくお話を伺いました。

受講後たった4か月でジビエ肉のテリーヌを商品化した橘さん。まさかこんなクオリティの商品作ってるとは思いませんでした。

◆ゼロからのスタート。事業化を後押しした「学び」と「出会い」

【椋木】
本日はありがとうございます。まずは、受講前の状況を教えていただけますか?

【橘さん】
以前の小学校の給食調理の仕事を辞めて、食肉加工品の事業を立ち上げようと準備している最中でした。資格や衛生基準は調べていたものの、具体的にどこから行動を開始すればいいのか、製造から販売までの段取りが全く分からず、立ち止まってしまっていました。

【椋木】
そこで私の講座を知ってくださったのですね。受講の決め手は何だったのでしょうか?

【橘さん】
インスタグラムで講座を知りました。仕事を辞めて「これをやるしかない」という状況になった時に、ノウハウがないからもう「すがる思い」で受講を決断しました。実際に講座を受けてみて、目の前でピクルスなどの製造工程を詳細に見られたのが、非常に良かったと感じています。

【椋木】
そこまで思い詰めてたんですね(笑)お会いした時には全く気づきませんでした。受講されて特に事業を大きく後押しした具体的な成果はありましたか?

【橘さん】
はい、講座で素晴らしいデザイナーの方をご紹介いただけたのが大きかったです。そのおかげで、パッケージデザインからリーフレット制作、さらにはスケジュール組みまでサポートしていただき、事業が一気に動き出しました。初期の行動としては、講座で学んだ細菌検査について、まずは専門家に連絡を取り、地元の検査機関でテリーヌの賞味期限を決めるための検査を冷蔵と冷凍の2パターンで実施しました。

【椋木】自宅を改築した加工場の整備も進められたと伺っていますが、どんな苦労がありましたか?

【橘さん】
自宅を改築して作った加工場は最初は空っぽでした。受講後に中古の厨房機器を探し回って揃えましたが、真空包装機だけで高額になり、設備投資は50万円を超えました。安価な棚を探しに滋賀まで行ったり、冷凍庫はレンタルサービスを利用したりと、なんとか費用を抑えられるよう工夫しながら整備を進めました。

◆「安すぎる」と指摘された価格設定

【椋木】
制作されたテリーヌのデザインを拝見しましたが、お世辞抜きにめちゃくちゃ良いです。Instagramの写真も含めて、営業せずとも売れるというコンセプトに説得力があります。ただ、率直な感想を言うと、販売価格の1,500円は安すぎますね。これだと商品の人気に火がついたとしても商業ベースには乗らなくなりますよ。

【橘さん】
デザインは本当によく褒めて頂くのでとても自信があります。価格については高いくらいだと思っているのですが…

【椋木】
このレベルの商品であれば、居酒屋ではなく、百貨店や大型の展示会(フーデックス JAPAN、ギフトショーなど)で売るべきです。まずは地元の商談会に参加したり、バイヤーと名刺交換をしたりして、販路を確保するのが急務ですね。石川県産のジビエ限定で作っているので生産体制はまだ安定していない事を前提に、とにかく営業をかけまくるんです。まずはこの商品を欲しい、というバイヤーを手当たり次第見つけておくんです。

【橘さん】
現在は直売会やクラフトビール店での販売を始めたばかりで、実績はまだ少ないんですがそこまで広げて良いものなのでしょうか?ターゲットは「50〜60代の、お金に余裕がある男性」と考えていますが、なかなか売り場を見つけるのが難しいと感じています。

【椋木】
このデザイン力と品質があれば、展示会に出ればすぐにバイヤーの目に留まるはずです。製造能力が整っていなくても、「整ったら納品する」という形で営業をかけることが重要です。バイヤーは欲しいと思う商材はいつまででも待ちますし、独占したいとさえ思っています。欲しいと思わせた方が勝ちなんですよ。萩野菜ピクルスは完全にその状態にもっていきました。

◆生産体制の課題と、売上を最大化するための商品展開

【椋木】
冷蔵だと賞味期限が製造後2週間前後、冷凍だと2ヶ月くらいで、保存料不使用のため流通を考えると冷凍発送が中心になってしまいますね。

【橘さん】
はい、冷凍だと美味しさが伝わりにくく、物産館などに置いてもなかなか動かないという課題を感じています。理想は冷蔵販売で、そのためにもまずは販路を広げたいです。

【椋木】
賞味期限を延ばす方法として、レトルトパック製造という選択肢もあります。保存料なしで常温保存が可能になり、流通の課題を解決できます。◯◯県の◯◯という企業や◯◯県の◯◯といった、レトルト製造機のレンタルやOEM製造を請け負う会社もあります。私は通常はレトルトは受講生に薦めないのですが、この商品はレトルトでやらないと良さが活かせない珍しい商材なんですよ。ただ、初期投資が高くなりすぎるので、とりあえず冷凍でやれるところまでやりましょうか。

【橘さん】
レトルトですか。考えた事なかったですね。確かに冷凍だとこの見た目の美味しさが全然伝わらないんですよ。

【椋木】
まずは販路を拡大しながら、補助金を活用して生産設備を整えるのが先決ですね。また、売上を上げるためには、価格戦略を見直しましょう。石川県産のイノシシ肉の供給が市の財政難で減少する可能性があるという課題があるなら、なおさらです。

【橘さん】
地元石川県産のイノシシ肉にこだわりたい気持ちがあります。

【椋木】
そこは橘さんの事業の軸となるプライドや誇りのようなものなので変えずにいきましょう。しかしそのこだわりを活かしながら、商品展開を分けることはいくらでも出来ます。例えば、1,500円の豚とイノシシの合いびき肉を使ったテリーヌと、付加価値を高めた3,000円の他県産イノシシ100%のテリーヌ、そして最高級として4,000円の地元石川県産イノシシ100%のテリーヌと、価格帯の異なる3パターンで展開することだって出来るのです。そうすれば橘さんの石川県産のこだわりも達成する事ができます。

【橘さん】
なるほど…石川県産を最高級にして、他のランクの商品展開を考える、ですか…複数の商品展開はお客様の選択肢を増やして、高い方を選んでもらう効果も期待できますね。

【椋木】
そうなんです。現実的に利益の事を考えると、1500円(税込)で販売したら小売店に3割マージンが引かれ1050円(税込)になります。税抜きだと約970円です。これに製造原価を引くと472円しか利益ならないんです。これってうちのピクルスとほとんど変わらない利益ですよ?講座でみてもらった通り、あんな短時間で数十本もつくれるピクルスと、石川県産のジビエにこだわり一個一個丁寧に作られた橘さんのテリーヌが同じ利益なんてあり得なくないですか?ピクルスの原価なんてせいぜい数十円なので750円で販売してもOKなんです。原価が500円もかかる商品は1500円なんて価格で売っては絶対だめなんですよ。

【橘さん】
本当にそうですね…。価格戦略と販路拡大を検討していきます!!

橘さんの情熱と、圧倒的なデザインとブランド力を持ったテリーヌは、本当に大きな可能性を秘めていると感じました。今後は、生産体制の強化と、そのブランドに見合った適切な販路・価格戦略が成功の鍵になると思います。驚きなのは、橘さんが受講されたのは今年の6月なんです。たった4か月でここまで形にするとは思いもしませんでした。テリーヌも先月発売したばかりだそうです。引き続き応援したいと思います!

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