売上が減ってきたら定量目標に全振りする

社会人向け加工食品専門学校ピクルスアカデミー

経営をしていると順風満帆な時もあれば、理由が分からない売上の減少に苦しむ時があります。

「いつも通り営業をしていたつもりなのに、なんか最近お客さんすくないな」

これがポツポツと起き出し、感覚的に2週間くらい続いたら黄色信号です。

放っていたら間違いなく赤信号に変わります。

あれよあれよと毎日2万円くらい売上が下がっていきます。

これは私の実体験に基づいているので、間違いないです。

こうなった時に経営者は「自分の味やセンスが否定されたのではないか」「時代のニーズからズレてしまったのか」と原因を定性的な感覚で捉える事があります。

定性的というのは品質、感情、状態など数値化出来ない性質のものです。

こんな時は経営者は絶対に「勘」に頼ってはいけません。

嫌かもしれませんが、「冷徹なまでの定量目標」に振り切る必要があります。

【売上が落ちてきたら真っ先に「定量目標の設定」で全て数値化】
こんな小さい店舗でも3ヶ月で60件の取引先を作ってました。

定量的というのは数値やデータで測れるものです。

停滞期に陥った際に最も恐ろしいのは、何が正解かわからないまま「なんとなく」の努力を続けてしまうことです。

この「なんとなく」を打破する唯一の方法が「定量目標の設定」と「仮説と検証」です。

ただし、これをやったからといってスグに売上減少の原因を特定できる訳ではありません。

「定量目標の設定」と「仮説と検証」は続ける事で、売上低迷の「原因」と「解決策」が分かる長期的な施策なのです。

まず最初に定量目標を設定する為に、今の自分のお店で数値化出来るものを全て洗い出します。

例えば飲食店であれば新規来店数、リピート率、アイドルタイム集客数、SNS発信数、店頭チラシ配布数、スタッフの「おすすめ」声掛け数など、集計できそうな数値を全て測ります。

この数値化を行う意味は「仮説」を立てる為です。

例えば、全体の来店数のうちリピーターの割合が下がり続けているのであれば「もう一回行こうと思われていない」という事なので「店の記憶がお客様の頭から消えているのかもしれない」という仮説が立ちます。

なので、「SNSを投稿して人の目に触れる機会を増やしてみようか」と言った「検証」を行う事ができます。

この検証をする時に必ず「定量目標」で設定するのです。

例えば「SNSを1日一回必ず投稿する」の様に必ず数値化します。

そうすると、効果があろうとなかろうと「結果」というデータが集まります。

この「結果」にこそ価値があるのです。

つまり、効果があれば原因も解決策も特定でき万々歳でOK、効果がなければ「原因はこれではなかった」という「答え」が手に入るのです。

例えば原因が「お客様の記憶」では無いのであれば、「そもそもメニューが魅力的ではないのかもしれない、飽きてるのかもしれない」とさらに仮説を狭めていく事ができます。

じゃあ次は季節限定メニューを考えてみよう、看板メニューを考えてみよう、メニューを一新してみようと次の検証を行う事ができるのです。

実際に私も13年経営をしていますが、この「定量目標の設定」と「仮説と検証」はずっとやり続けています。

実例を3つ挙げます。

2020年の4月に80席の大型カフェをオープンした時に、書き込みで「接客が悪い」「スタッフの態度が怠慢」という書き込みが大量にされていました。

しかし、店舗のスタッフを見てもいらっしゃいませ、ありがとうございました、などお声がけは大きな声できちんと出来ている。

監視カメラでスタッフをみても私語や怠慢な態度をとっている様には全く思えない。

でも毎日の様に接客の苦情が書き込まれる。

これは接客態度じゃ無いところに原因があるんじゃないか?と考え、ある仮説を立てました。

人間関係の不平不満はコミュニケーション不足から発生する、という仮説です。

私は30人のスタッフを抱え、大量辞職を経験した事があるのですが、その原因の一つが私に対するスタッフの鬱憤が溜まりまくっていた事でした。

それ以降、スタッフの意見を定期的に聞く様にして不満があれば改善するという姿勢を見せてから誰も辞めなくなったのですが、これと同じ現象が起きているのでは無いかと考えたのです。

そして、次の日からスタッフとお客様の接触回数をカウントし始めたのです。

当初お店のオーダースタイルは、お客様が席についたあとお客様がレジまでランチの注文をしに行き、料理ができたら自分で取りにいく、というフードコートスタイルでやっていました。

お水もカトラリーも全てお客様が取りにいく。

なぜこの方法にしていたかと言うと、スタッフのオペレーションをなるべく少なくする為でした。

80席を3人のホールスタッフで回していたので、出来るだけスタッフに労力をかけないようにしていたのです。

そうすると、必然的にお客様と会話する事がほとんどなくなります。

普通の飲食店は、席に案内する時、水を持っていく時、オーダーを受けにいく時、配膳をする時、水をおかわりする時、お皿を下げる時の最低6回接触します。

その時に何かあればお客さんは店員と会話をするのです。

トイレどこですか?箸ありますか?おしぼりもらえますか?など内容はたわいもないものですが、これが非常に重要なのです。

うちの店では席に案内する時と、お皿を下げる時の2回しか接触していませんでした。

たわいもない事を聞くのに、うちの店では「すみませーん」といちいちスタッフを呼ばなければならなかったのです。

こんな事を聞く為にいちいち手を上げてスタッフを呼ぶのも面倒だから、我慢しよう…となったらどうなると思いますか?

不満が溜まるのです。

人は不満が溜まるとあらゆるものが目につく様になります。

接客態度、スタッフの声の大きさ、動きの遅さなど、はたから見たら普通のものが全部気に入らなくなるのです。

これが原因かも、と考え「接触回数を6回に増やす」という定量目標値を設定しました。

その為にオーダーシステムは全部変えて、通常の飲食店のスタイルにして徹底的に6回接触する様にしたのですが、その途端苦情の書き込みがなくなったのです。

最初は接客態度の苦情があるたびに、声を大きくだして、とか笑顔で接客をして、などとその都度改善するように指示をしていたのですが、苦情は全く減りませんでした。

このような声の大きさや、接客態度という定性的な改善策というのは、人によって受け取り方が違うので正確に指示する事が出来ません。

しかし、定量的に数値で「6回接触して」と言われれば、誰でも出来ます。

この様に数値で目標を設定することは指示する方も、される側も「数をこなすだけ」なので楽なのです。

数をこなす事を目標にして、私は取引先も増やしていました。

ピクルスが完成した当初は取引先なんてゼロだったので、タウンページを開き(2013年ごろはまだありました)山口県のお土産屋さん、ピクルスと相性が良さそうなお店(パン屋)など全てエクセルに書き出し、「1日一件、月30件は試食を持って回る」と目標設定をして、下関や岩国、徳山など毎日一時間以上車を走らせ営業に行っていました。

これで3ヶ月目くらいには60件くらいの取引先を開拓していました。

他にも、創業当初の3坪のお店の時は、来店数が減りだした時に広告効果の検証でチラシの手配り、ポスティング、新聞広告、新聞折込チラシ、地域情報誌の広告、ネット広告など全て出して効果を測定し、ダントツでネット広告が費用対効果が高かったので、それ以降ネット広告一本に絞たりと、数値というのは目標設定も効果測定も明確にする事ができます。

【定量化は100%自分で操作できる数値を目標にします】
「1日1人新規顧客を作る」など自分の力ではどうしようもない目標設定ではなく、「1日50件ポスティング」とかにする。

この仮説検証をする時のコツは、結果に対して一喜一憂せず、淡々とデータを取ることだけに集中することです。

これはモチベーションの問題ですが、効果がないとやはり凹みます。

ただ、あくまでこれはデータ集めなんだと「数」だけを追いかけるゲームに頭を切り替える事で、自分の心を守るのです。

まずは感情を殺して、圧倒的な量をこなして「結果」というデータを取りにいく。

この泥臭い行動の蓄積をしていくと、いつもと違うデータに遭遇する事があります。

それこそが「解決の糸口」です。

この些細なデータの揺らぎは仮説と検証を繰り返した本人にしか分からない僅かなものですが、毎日数値と向き合ってる本人には衝撃的な違いなのです。

それが見つかったらあとは徹底的にそこを攻めるだけです。

売上が停滞したら、まずは現状を全て数値化、そして仮説を立てて定量目標を設定して、検証。

私は経営はこの繰り返しだと思います。

それでは!

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