食品保存の仕組み

今日はいつもと趣向を変えて、保存食の仕組みをお話ししたいと思います。

うち講座の初級編ではお酢(pH)を使った保存食の作り方、上級編では水分活性(Aw)の仕組みを使った保存食の作り方を教えています。

世の中にある瓶詰め、パック、缶詰などの食品は全てこのpHとAwの仕組みを利用して商品は作られています。

ジャム、飲料水、ピクルス、ドレッシングなど全ての加工食品はph、Awを調整すれば製造が可能になる。

例外なく全てです。

さて、そもそも食品における腐敗や食中毒は何故起こるのでしょうか?

原因はほぼ全て「細菌(微生物)」によるものです。

我々、加工品業者はとにかくこの細菌をどうしようかと頭を悩ませながら商品作りをしているのです。

では「細菌」が食中毒などの全ての根源であるならば、細菌数がゼロであれば腐敗も食中毒も起こらないはずですよね?

そうなんです。

大原則として細菌がいなければそういったことは起こらないのです。

これを可能にしているのが「レトルト食品」です。

レトルトとは加圧加熱機で120度以上で加熱殺菌をし、菌をほぼ死滅することが出来ます。

レトルト食品は食品衛生法で「商業的無菌」状態でないと販売してはならないと定められているのです。

なのでレトルトのカレーや缶詰などは1年でも2年でも賞味期限が保たれるのです。

しかし、このレトルト食品を作るには業務用のレトルト殺菌機が必須になり、これが数百万円もしてしまうのです。

初心者がやるにはハードルが高すぎるので、うちの講座ではレトルトを教えていません。

ではレトルト以外の食品はどうやって作られているのでしょうか?

ピクルスやジャム、マヨネーズやリンゴジュースなど世の中にはレトルトではない商品の方が殆どです。

実はこれらの商品の中には細菌が存在しているのです。

え!?と驚かれる方もいらっしゃるかもしれませんが、そうなのです。

コンビニで売っているサンドイッチや生サラダ、おにぎりにだって細菌はついているのです。

でも誰も食中毒にはなってないですよね?

1日数十万個も売れているコンビニのおにぎりを食べても、誰も食中毒にはなっていない。

そうなんです。細菌は付いていてもいいんです。

問題なのは「細菌の種類」と「数」なのです。

食品衛生法では食品ごとに一般的な細菌(一般細菌数)はこのくらいだったら付いててもいいよー、という目安が定められています。

例えば生のサラダだったら数万匹はついててもいいよー、ドレッシングだったらこのくらいだったらいいよー、みたいなイメージです。

種類については、例えばよく聞くo157、サルモネラ、黄色ブドウ球菌、ボツリヌス菌など、絶対にNGなものもあります。

この細菌の数と種類を調整しながら保存食というのは作られていきます。

ではどの様に調整するのかというと、とても簡単に言うと食品の酸度と水分量です。

これを酸度(pH)と水分量(Aw)と呼びます。

まず細菌の大原則として3点挙げられます。

・細菌は酸度が強ければ強いほど繁殖できない
・細菌は水分がないと繁殖できない
・細菌は基本的に熱でしか死なない

この大原則に則って、古来から保存食は作られているのです。

ピクルス、漬物、ジャム、干物なんて紀元前から作られています。

ピクルスは酸っぱいのでイメージしやすいので説明は省きますが、問題は水分量(Aw)の方です。

Awというのは厳密に言うと、自由水の割合の事です。

水は「自由水」と「結合水」が混ざり合っているのですが、細菌が繁殖できるのはこの「自由水」の中だけなのです。

自由水というのは普通の水、水道水だと思ってもらってOKです。

では結合水というのは何かというと、タンパク質や塩分、糖分など何かと結合している水分と思って下さい。

食品には必ず水分が含まれています。

その水分の内、自由水の割合が少なければ少ない程、細菌は繁殖が出来ないのです。

つまり、「賞味期限が長くもつ」のです。

では自由水の割合を減らすにはどうするか?

結合水を増やすのです。

砂糖や塩などをぶち込むのです。

なので古来からある保存食は味が極端な物が多いのです。

めちゃくちゃ甘かったり、めちゃくちゃ塩辛かったりするのは、結合水を増やすことでしか食品を長く保たせる方法を知らなかったからです。

逆に干物などは、食品を乾燥させる事で水分自体を失わさせるので、そもそも細菌が繁殖できず長く持ちます。

皆さんの記憶に新しい、マフィンの大食中毒事故なんてものはAwを理解していない素人がやってしまった最たる例です。

あのマフィンには栗の甘露煮が入っていたのですが、健康志向を謳いたいが為に、砂糖の量を減らした低糖度の甘露煮を作った事が原因です。

砂糖の量を減らせば減らすほど細菌は繁殖しやすくなります。

しかも、温かいマフィンの中という細菌の最も繁殖しやすい環境まで整っていて、これで食中毒を起こすなという方が無理な話です。

どの程度までであれば糖分を減らしても大丈夫なのかという基準値や測定方法を知らないからこういう事が起きるのです。

塩分やpHだって測ればいいんですよ。

計測器なんて3000円くらいのもんです。

基本的に食品を製造する上で、食品衛生法で定められているのは「pH」「Aw」と「加熱殺菌の温度と時間」の3点だけです。

この3点の仕組みを使えば、細菌は如何様にも調整できるのです。

これを教えているのが、この講座の上級編です。

レトルト以外の食品であればこれで殆ど作れます。

暑い日が続いています。

細菌にとって一番好環境な時期です。

飲食店はさることながら、家庭でも食品には細心の注意を払わなければ細菌はすぐに繁殖します。

怖かったらとにかく電子レンジなどで加熱して食べる様にしてください。

それでは!

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