食感を活かしたいなら浅漬け、賞味期限を長くしたいなら加熱殺菌
社会人向け加工食品専門学校ピクルスアカデミー
先日受講生からこのような質問が届きました。
ピクルスを自分の飲食店にメニューの1つとして作りたいのですが、お店て出す際一度加熱した後どのような容器で保存していますか?
うちのお店ではランチに少量のピクルスをお付けしているのですが、当然毎日だすので作り置きをしています。
この方もお店でピクルスを出したいとの事で、この場合2つの選択肢から選ばなければなりません。
②作り置きをしたものを出す
①の浅漬けの作り方は、切った野菜を前日にピクルス液に漬けるだけです。なので野菜の食感もパリッと歯応えのある状態で提供することができます。
②の作り置きは、ナイロンパックに500g程度(※何gでも構いません)のピクルスを入れてシーラーで密封して煮沸殺菌をかけるので、野菜に火が通りパリッとした食感は失われます。
つまりそれぞれのメリットとデメリットをまとめると、
・食感がパリパリして美味しい
・熱処理をしないので賞味期限が3日くらいしかもたない
②のピクルス
・熱を通しているので食感が浅漬けより弱い
・賞味期限が6ヶ月はもつ
となります。
なので、どのような状態でピクルスを提供したいのか、何を優先するのかを考える必要があるのです。
うちの場合は、大量のピクルスをサンドイッチにもランチの付け合わせにも使うので、そんなの毎日作ってられないという事情を優先し、1日で30袋分をまとめて作り置きをします。

毎日1袋分使ったとしても1ヶ月はそれでもつので手間も省けとても便利です。
しかし、もし食感を優先したいのであれば作り置きは不可能です。
賞味期限の関係上、3日分くらいしか作り置きができません。
実は加工品製造ではこの「何を優先するか」問題が頻発します。
例えばよくあるのが酵素や酵母、乳酸菌などを生きたまま体内に届けるのか問題です。
これらの菌は約60度で死滅します。
加工食品を常温保存で流通させる場合、加熱殺菌は避けられません。
しかし、加熱殺菌をすると食品の中心温度が60度以上になるのでその時点で菌は死滅してしまいます。
つまり、常温保存では流通させることが出来ないので、少しでも賞味期限を長く保つ為に10℃以下の冷蔵商品として流通させるしかないのです。
ヤクルトやヨーグルトなどが冷蔵で販売されているのはそういう事です。
しかし、このような菌は実は死滅したとしても腸内の善玉菌の餌としては十分機能するのです。
それを良しとする考えであれば、菌は死滅しても食品中に含まれている事は事実なので、加熱殺菌を加えて長い賞味期限の常温商品として流通させることができます。
常温の商品棚に並んでいるパウチに入った塩麹などがコレに該当します。
このように生きたままにするのか、死滅しててもいいのか、どっちを優先するかによって商品作りが変わるという事はめちゃくちゃ多いのです。
そして正解はその商品を作る経営者の価値観によって変わるのです。
だから良いも悪いもないのです。
どちらも嘘はついていないのだから。
菌はどちらも入っている、それが生きているのか死んでいるのかという違いなだけなのです。
私個人としては「流通の融通性」「通年商品でラインナップを固定(季節限定商品などイレギュラー商品を作らない)」「管理が簡単」など実務面を最優先するので、もし菌の効能を謳った商品を作るなら絶対に死滅してても構わない派です。
皆さんはどうでしょうか?
正解はないので、ぜひ考えてみてください!
それでは!

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