カルディでの15年を経て、北海道長沼町で起業へ。地域おこし協力隊の田中奈都子さん

社会人向け加工食品専門学校ピクルスアカデミー

今日は講座で名古屋に来ています。

今日は名古屋講座です。
朝9:30に名古屋に到着!

山口から始発の新幹線に乗って約3時間。

眠い(笑)なんてことは言ってられないので、今日もいつもどおり頑張って講義をしてきます!

さて、今日ご紹介する卒業生は北海道の夕張郡で地域おこし協力隊をされている田中奈都子さんです。

協力隊として町から課されているミッションは、3年間というスパンの中で「長期保存ができる物販用の加工品を開発すること」

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それではどうぞ!

【カルディでの15年を経て、北海道長沼町で起業へ。地域おこし協力隊として挑む「地元野菜の加工品開発」の舞台裏】

北海道夕張郡長沼町。

千歳空港から車で約25分、札幌市からも1時間圏内という好立地にありながら、どこまでも広がる美しい農地と美味しい食材に恵まれた町です。

この町で現在、地域おこし協力隊の1年目として「地元野菜を使った加工品開発」というミッションに挑んでいるのが、田中奈都子さんです。

前職のカルディコーヒーファームで15年間、店舗運営の第一線で活躍してきた田中さん。

なぜ彼女は安定した会社員の道を離れ、北の大地で起業を目指すことになったのか。

そして、当アカデミーの講座を受講したことで、彼女の商品開発への視点はどう変わったのか。

田中さんのこれからの展望をじっくりと伺いました。

※※※※※※※

◆偶然の出会いから始まった、北海道長沼町での「起業」への道

【椋木】
田中さん、お久しぶりです!
本日はよろしくお願いします。
早速ですが、まずは田中さんが現在の活動を始められる前の状況からお話を伺えますか?

【田中】
私は今、北海道の夕張郡長沼町で「地域おこし協力隊」として活動しています。
すでに惣菜の製造許可と菓子の製造許可は取得していて、単発のイベントなどで出店を始めている状況です。
ただ、協力隊として町から課されているミッションは、3年間というスパンの中で「長期保存ができる物販用の加工品を開発すること」なんです。

【椋木】
3年間のミッションですね。
もともと香川県のご出身だと伺っていますが、なぜ長沼町だったのでしょうか?

【田中】
実は4年前、前職のカルディに勤めていた頃に、長沼町の道の駅の立ち上げに携わる機会があったんです。
3ヶ月間、住み込みのような形で出張してきたのがこの町との最初の出会いでした。
その時に、農家さんがすごく身近にいて、とにかく素材が圧倒的に美味しい町だと知って、一気に大好きになってしまって。
その後、15年勤めた会社を辞めて「1年くらいフラフラしよう」と思っていた時に、当時繋がった地元の方から「1ヶ月くらいこっちに住んで、ちょっと仕事を手伝ってみない?」と声をかけていただいたんです。
軽い気持ちで仮移住したのが一昨年のことでした。

【椋木】
なるほど、最初は軽い気持ちからのスタートだったんですね。そこからなぜ起業へ?

【田中】
農家さんの手伝いや道の駅でのアルバイトをするうちに、「やっぱりこの町は素晴らしいな」と。
会社員に戻るつもりはサラサラなくて、もともと食のジャンルで起業したいという想いがありました。
地元(香川)での起業も考えましたが、長沼町は個人事業主で飲食店などをされている方が多くて、新しく挑戦する人を周りが「やってみなよ!」と応援してくれて、ノウハウまで教えてくれる温かい環境だったんです。
「スタートアップするなら、この町の方が絶対に上手くいく」と確信しました。
そんな時に、ちょうど町が「地元の野菜を使った加工品を開発してくれる地域おこし協力隊」を募集しているのを見つけたんです。
家賃補助や活動費などの手厚い支援を受けながら、自分のやりたい起業への準備ができる。
まさに最高のタイミングで、運命的なマッチングでした。

◆「売るプロ」から「作るプロ」へ。講座でクリアになった食品加工のサイエンス

【椋木】
いろんなタイミングがベストだったんですね!
ちなみに、そこからなぜうちの講座を受けようと思われたのですか?

【田中】
ミッションである「加工品開発」を進める上で、大きな壁にぶつかっていたからです。
カルディ時代は15年間「加工品を売る専門」でしたし、その前はお料理教室の先生をしていたので調理はできます。
でも、「長期保存ができる商品を一から作る」となると、話は全く別でした。
どの許可が必要なのか、長期保存のための殺菌工程をどう組めばいいのか……。
いわゆる「食品科学」の領域のノウハウが、私には全くありませんでした。
どうやって勉強しようか悩んでいた時に、Instagramで椋木さんの講座の広告を見かけたんです。

【椋木】
あ、インスタの広告だったんですね!

【田中】
はい。実は仕事を辞めて起業を漠然と考えていた2年前くらいから、ずっと気になってサイトを見ていたんです(笑)
当時はまだ踏ん切りがつきませんでしたが、サイトで他の受講生さんの活躍や感想を見る度に「やっぱり受けたいな」と。
他にこういう実践的なスクールの情報もなかったので、必然的にここに辿り着きました。

【椋木】
2年前から見ていただいていたとは嬉しいです。
実際に受講してみて、受講前と後で一番変わったなと思う変化はどこですか?

【田中】
一番は、商品開発における「未知の恐怖」がなくなり、イメージが劇的に膨らみやすくなったことです。
受講前は「殺菌ってどうやるんだろう」「本当に安全なものが作れるのかな」と不安ばかりでした。
それが受講したことで知識がクリアになり、「この素材であれを作りたいときは、こういう手順を踏めばすぐ形にできるな」とロジカルに考えられるようになりました。
それと、無意識のうちに物を見る視点が変わりましたね。
受講後に東京へ行く機会があり、ディーン&デルーカなどの高感度なショップへ行ったんです。
以前なら「わあ、おしゃれで美味しそう!」と一消費者の目線で見ていたのが、今は「あ、これは乾燥加工だから殺菌の心配が少ないな。うちの惣菜許可があれば、乾燥させて詰めればすぐ商品化できるやん!」と、製造者の頭で計算しながら見ている自分に気づきました。
この視点で商品が見れることになったのは、私にとってものすごく大きいです。

◆町の課題を解決する、大玉トマト「レオン」と「ニンニク」の可能性

【椋木】
今、具体的に進めている試作や、挑戦したい商品案はありますか?

【田中】
まず絶対に作りたいのは「トマトソース」です。
長沼町はトマト農家さんがとても多く、どうしても規格外のハネモノが出てしまいます。それを活かしたいというのが一つ。
そしてもう一つの強みが、この地域でメインに生産されている「レオン」という大玉トマトの品種です。
「桃太郎」などは有名ですが、「レオン」って一般的にはあまり馴染みがないですよね。
実は農協の推奨で、長沼町内ではこのレオンへの切り替えが進んでいるんです。

【椋木】
「レオン」って初めて聞きました。どんな特徴があるんですか?

【田中】
実がしっかりしていて痛みにくいのが特徴なのですが、シンプルにソースにしてみたら、適度な酸味があってもの凄く美味しかったんです!
最近のブームのような「ただ甘いトマト」ではなく、料理に活きる絶妙な味わいを持っています。
全国的に知名度が低いからこそ、ストーリー性を持って新鮮な打ち出しができると考えています。
それからもう一つ、東京のショップでヒントを得た「粉末のペペロンチーノの素」も形にしたいです。
乾燥させたニンニクやハーブをミックスした調味料ですね。

【椋木】
なぜ調味料に着目されたのですか?

【田中】
長沼町でも最近、ニンニクを生産する農家さんが増えているんです。
そして何より、乾燥商品であれば水分値が低いため、液体の瓶詰めほど複雑な殺菌工程を気にしなくていい。
私が今持っている惣菜製造の許可の範囲内で、スピーディーに商品化ができるというメリットに気づけたからです。
これも講座で学んだ知識があったからこそのアイデアです。
実は、長沼町の道の駅はすごく集客力がある場所なのですが、裏のラベルを見ると、置いてある加工品の多くが隣町の製造だったりするんです。
野菜がこれだけ豊富にある町なのに、地元野菜を使った加工品がほとんどない。
これが町の一番の課題であり、私のミッションでもあるので、トマトソースやニンニクの調味料でそこを埋めていきたいです。

【椋木】
パッケージのデザインなどはどうされる予定ですか?

【田中】
ちょうど地域おこし協力隊の中に、新しくデザインができる優秀な方が入ってきたんです。
自分にはそこのセンスがないので、プロであるその子にお願いして、しっかりクオリティの高いものを作ろうと思っています。

【椋木】
素晴らしい!デザインは絶対にプロに任せるべきです。強力なチームが身近にできて心強いですね。

◆未来の加工場と販路開拓。3年間のミッションの先に見据える独立

【田中】
椋木さん、インタビューの本筋とは少し離れてしまうのですが、これから具体的に動くにあたって2点ほどアドバイスをいただいてもいいですか?

【椋木】
もちろんです。何でも聞いてください。

【田中】
今は協力隊の特権で、町の加工センターを空いている時間に自由に使えるのですが、3年の任期が終われば自分の加工場を持たなければなりません。
椋木さんが最初にピクルス専門店を立ち上げられた時、物件や設備にはどれくらい費用をかけられたのでしょうか?

【椋木】
うちの最初の店は、元々魚屋さんだった築50年くらいの古い一軒家物件でした。
1階の狭いスペースにコンクリートが打ってあるような状態です。
それを加工場にするために、一度すべての中仕切りをぶち抜いて、床のコンクリートを打ち直しました。
業者にかかった費用はトータルで100万円くらいです。
壁などは自分たちで白いペンキを塗っただけですよ。

【田中】
100万円!思ったよりも抑えられていますね。

【椋木】
ポイントは熱源の申請ですね。
うちは木造物件だったので、ガスを使うとなると内装を耐火構造(アルミやステンレスの施工)にする必要があり、莫大な費用がかかる構造でした。
そこで、保健所には「電気コンロで製造します」と申請を出して、木造のままで営業許可を通したんです。
初期費用を抑えてスタートするための工夫なんていくらでも方法はあるんですよ。
それから、シンクや作業台などの共通基準の設備は、絶対に新品を買わずに中古で揃えてください。
あんなものは中古で十分ですから、ここで余計な お金を使わないことが鉄則です。

【田中】
ありがとうございます!知らなければ確実に新品で買い揃えるところでした(笑)
もう1点、椋木さんが以前講座で「FOODEX JAPAN(国際食品・飲料展)」に出展された際、補助金を活用したとお話しされていましたよね。
具体的にどのような補助金だったのか教えていただけますか?

【椋木】
あれは私が拠点を置いている「山口市」の市単独の補助金でした。
補助金には国、県、市町村の3レベルがありますが、国は一番規模が大きく採択の難易度も高いです。
逆に市町村の補助金はサイズこそ小さいですが、非常に採択されやすい。
私が使ったのは「販路開拓促進事業」や「マーケティング補助金」といった名称のもので、補助率2/3、上限50万円という枠でした。FOODEXへの出展料がちょうど50万円ほどだったので、それで大半がカバーできたんです。

【田中】
商品が完成した後の販路拡大は、まさに私の次のミッションなので、ぜひ活用したいです。

【椋木】
田中さんが今やるべきことは、事前に市役所や地元の商工会議所へ行って、「過去に販路開拓やマーケティングに関する市(町)の補助金はありましたか?」と聞いておくことですね。
大抵、毎年同じような補助金が同じ時期に公募されます。
補助金の公募期間は基本的に1ヶ月程度と非常に短いので、募集が始まってから書類を作っていては間に合いません。
事前に過去の「募集要項」をもらっておき、あらかじめ申請書の雛形(事業計画書)を作り込んでおく
んです。
募集が始まった瞬間に一番乗りで提出するくらいの準備をしておくと、採択される確率がグッと上がります。
お金は先出し(後から入ってくる)になるので、資金繰りだけ見越して、さっさと計画書を作っておくことをお勧めします。

【田中】
なるほど……!募集が始まる前から勝負は始まっているんですね。
商品ができる前から、市役所や商工会議所に足を運んで情報収集を始めてみます。

【椋木】
ぜひ動いてみてください。まだ任期は2年3ヶ月もありますし、これだけ素晴らしい環境と前職の経験、そして講座で得た知識があれば、長沼町を代表する素敵な商品が必ず作れるはずです。
応援しています!

【田中】
ありがとうございます!学んだことをフルに活かして、まずはトマトソースと調味料の商品化に向けて全力で動いていきます!

「売るプロ」としての15年のキャリアを持ちながら、そこに甘んじることなく、「作るプロ」としての科学的な知識を貪欲に吸収された田中さん。
田中さんの強みは、長沼町という土地の魅力と課題を客観的に捉え、講座で得たノウハウをすぐに「自社商品ならどう応用できるか」という事業者視点に落とし込めている点にあります。

地域おこし協力隊という強力なバックアップ体制を活かし、町の未来を担う加工品が誕生する日を楽しみにしています!

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